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グランブルーの主人公になった青年 新上五島の海

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        (ご家族の同意のもとにブログを書かせていただきます。)

碧い海 世界遺産に登録され、歴史に刻まれた島。彼が子供の頃から一番愛していたこの島と海。

この海に溶けてひとつになったのです。

 

葬儀社を紹介するあるサイトの係の方から電話が入ったのは、8月14日のことでした。

海上保安庁へご遺体を引き取りに伺い、そのまま家族だけで葬儀を行いたい。とのご依頼でした。

 

いただいた情報を確認すると、26歳の男性。私のひとり息子と同じ年。まだ若い・・・・

ご実家は、岐阜県で職場は茨木県。お母さまの出身地が新上五島で、子供の頃から「海に山に自然大好き」な彼は、休みのたびに新上五島を訪れて大好きな海を堪能していたそうです。

ご葬儀は、新上五島、岐阜、茨木のいずれかで行うのが良いかと思いそのようにお話しましたが、ご家族の強い要望で、弊社で執り行うこととなりました。なぜ長崎のしかも縁もゆかりもない弊社で・・・・・なんとなく居心地の悪さを覚えながら打ち合わせを進めました。今までの経験上、水の事故の場合、すぐに発見されなければ、ご遺体の損傷は激しく、見るに堪えない状況が予想されたので、1日も早く「焼骨」にして、彼の尊厳を保った上でご葬儀をして差し上げれば・・・・と思ったのですが・・・・・事故以外の可能性を打ち消すために、司法解剖が執り行われ、その関係で長崎大学病院に運ばれた彼は弊社とのご縁ができたのでした。葬儀には新上五島から、彼の愛するおじいちゃん、おばあちゃん他ご親戚も参列されました。

 

素潜りフリーダイビングの最中に行方不明となり、2日後本当に奇跡的にご遺体を発見することができたそうです。海上保安庁の方の説明によると、その日の捜索は水深20メートル付近を行うと決めて行われ、素潜りの装備については詳しくわからないのですが「水中モリ」のようなものを持って潜っていたらしく、偶然にも20メートルの水深の付近に、そのモリが浮いていたらしいのです。

海上保安庁の潜水士が、そのモリを頼りにもっと深いところへ捜索の手を広げ、水深28メートルの岩場で彼を発見したとのことでした。広い海の中、本当に奇跡的に発見されたと思います。若いころスキューバダイビングをしていた私は、28メートルの水深の世界が「ただただブルー。色はブルーのみの濃淡で他の色はほとんど感じない世界」であることが想像できました。

                    写真は新上五島の海

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発見された時、頭まですっぽりかぶるウエットスーツとシュノーケル、ゴーグル、フィン、ダイバーズウオッチ。完璧にそろえられた装備に彼のダイビングに対する情熱が感じられます。遺品になってしまったウエットスーツやフィンはまるでプロのものでした。

 

死因は推定ですが、ハイパーベンチレーション(素潜りの呼吸法)によるブラックアウトの可能性が高いとのことでした。最近のフリーダイビングでは、この呼吸法もですが、ヨガの呼吸法を勉強される方もい多いと聞きます。要するに長い時間呼吸を止めて、水中に潜っておけるようにする呼吸法です。私がスキューバダイビングをしている時も、講習の中にハイパーベンチレーションを練習した記憶がありますが、「あまり続けてしてはいけない」と言われたように記憶しています。多分危険なのでしょう。

自然相手の趣味(彼の場合趣味の範囲を超えているかもしれませんが)は、生と死が隣り合わせです。一歩間違えば「死」と直結します。

 

淡々と話す彼のお父様が、亡くなられたご自身の息子様のことを「彼は・・・」と名前でもなく、息子とでもなく、話す一言一言が、一人の人間として尊重されていたんだと、とても印象的でした。

私の息子も平成3年生まれの同じ歳で、その息子が不慮の事故で帰らぬ人となる。葬儀の仕事で当たり前の光景なのですが他人事に思えず「私ができるすべてのことをして差し上げよう」そう思ったのでした。それと同時に、果たして私はこのお父様、お母様のように息子を一人の人間として尊重しているか?いつまでも子供扱いしていないか?と考えてしまいました。

 

近くのお寺で懇意にしている和尚様に、法名と読経をお願いしました。ご両親がどうしても「自」という一文字を法名に入れてほしいとお願いされ、「釈自蓮」という素晴らしい法名を賜ることができました。

 

海に限らず山も愛した彼は、大学で「きのこ、菌類」の研究をし、仕事もその関係で「大腸菌」や新薬の開発に関わっていたそうです。短かったのかもしれませんが「自然」とともに生き、大好きだったお母さんのふるさと「新上五島」の海に溶けていった彼は私に言わせると「グランブルー」の世界でした。

碧い海に魅せられた彼の長い大きな黒いフィン。身体を包んでいたウエットスーツ。最期まで彼と時を共にしたダイバーズウオッチ。

すべてが大切な「遺品」になりました。

実は、彼がもっと大切にしていたかわいらしい彼女。彼は彼女を伴って新上五島の海に来ていました。海に溶けていった彼のダイバーズウオッチを彼女は大事そうに胸に抱いていました。

 

弊社の葬儀は規模としてはあまり大きなものはありません。毎回少人数で行われる葬儀が8割を占めます。

 

でも「心から亡くなられた方を想う葬儀」「家族の温かみを感じながら行う葬送の儀」まさしく私の目指すところの葬儀の在り方。

これは、どんな大手や老舗の葬儀社にも負けない自信があります。自分でいうのはおこがましいかもしれませんが、きっと亡くなられた彼も私の行う葬儀を選んで縁をつないだのではないだろうか?と思えてならないのです。

 

ご家族は私に感謝の言葉を述べられましたが、私もまた「家族の素晴らしさ」「ふるさとの自然のすばらしさ」を改めて思い直したよい経験になったのです。

 

最後に、新上五島がどんなに魅力的で彼を引き付けたのか皆さんにご紹介したいので、新上五島の紹介のリンクを貼っておきます。

 

https://shinkamigoto.com/

 

合掌

 

 

 

 

 

 

 

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